古い車の車検から見えてきた消費行動の課題。あなたはどう判断しますか?(後編)
ものをどんどん消費することで成り立っている経済。だんだんひずみが見えてきています。そこで、私たちができることは?
『家電製品は、故障を修理するより買ったほうが安い!』
今の日本では、常識になっていますよね。
1年ほど前に電気ケトルを床に落っことして、スイッチ(お湯が沸くと自動で切れるもの)が割れてしまった時のことです。
近くの電気屋さんに修理してもらうため持って行ったら、
「あそこの量販店に持って行けば一律5,000円で修理してくれるよ。」
って言われました。
いや、これ4,500円で買ったんですけど。部品の取り寄せはできませんか?
「絶対無理です。お客さんが修理しても、事故があればメーカーの責任になるので売ってくれませんよ。」
結局、泣く泣く捨てることにしました。
前編でも述べましたが、今の日本、家電や車など家庭で使う工業製品はおよそ10年程度で寿命が来るように作られていて、その都度、消費者は買い替えを迫られます。
故障して直そうとすると、相応の費用がかかり、往往にして新品に買い換える方が安くついたりします。
日本の工業技術はすごくて、高機能でかつ安価にものを提供してきました。このおかげで私たちは世界的に見ても豊かな暮らしを享受できています。これは大変誇れるし、ありがたいことです。
しかしながら、新製品の製造は、徹底した効率化で安く提供できる一方、故障の修理は故障箇所の特定、部品の調達、修理など個別対応に頼らざるを得ず、しかも人件費という削れない壁があります。
かといって、メーカーはクレームを警戒して、部品販売には消極的で、個人で治すわけにも行かなくなっています。
その結果、ものを使い捨てて、買い替えを繰り返す方が経済的という現象が起きています。
でも・・・
資源は有限です。また、廃棄物もどんどん増えていきます。これから減速経済に突入することを考えても、ものをどんどん消費する生活が、いつまでも続くはずがありません。これから私たちは消費者として、便利なものを際限なく求めることをやめる覚悟が必要です。
そこで、私たちができることを考えてみました。
1. 必要以上にものを持たないようにしよう。
ミニマリストの活動に見られるように、何か、ものを手放してみて、シンプルな生活を送るようにしよう。
2. ものをできるだけ長く使おう。
そのために、最新技術のものではなく、できるだけ技術のこなれたもの(もちろん、環境負荷とのバランスを考えて)を選び、丁寧に可能な限り修理しながら使うようにしよう。
えっ?選ぶものがない?
そういう時は選挙と同じ。これっていう候補者がいなくても、最もマシな人を選ぶでしょう。そうしないとよくない人が当選することになるので・・。
ですから、最もマシなものを選びましょう。
これが世の中を少しずつよくする方法ですよね。